睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群のイメージ

睡眠中に呼吸が停止、あるいは低呼吸状態であると判定されると睡眠時無呼吸症候群(SAS:sleep apnea syndrome)と診断されます。SASの定義は、睡眠時1時間あたりで10秒以上の呼吸停止か、換気量が50%以上低下した呼吸(低呼吸状態)が5回以上ある場合です。
SAS発症の原因は2つに分けられます。ひとつは睡眠中に上気道が閉塞してしまうことで、無呼吸もしくは低呼吸状態になる閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)です。上気道が閉塞する理由としては首の周囲に脂肪がついている(二重あご)、先天的に顎が小さい、舌が大きい、アデノイド増殖症、軟口蓋沈下といったことが挙げられます。ちなみに日本人の全SAS患者さんのうち9割近くを占めるのがOSASです。もうひとつは、脳内にある呼吸中枢の機能異常によって引き起こされる中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)で、これは主に心不全の患者さんにみられる合併症です。CSASの場合は、原因疾患を治療することで状態が改善することがあります。

SASによる主な症状は、睡眠中のいびき、活動時(日中)に強い眠気に襲われる、起床時の頭痛、疲労感、睡眠の途中で目が覚める、不眠といったものがあります。CSASの患者さんの場合、気道は閉塞されていないので、いびきの症状はみられません。
SASの状態を放置すると、高血圧や糖尿病、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、心臓病(心不全、心筋梗塞 など)などの発症リスクを高くさせますので、このような点からも心当たりのある症状があれば、一度ご受診ください。

検査について

SAS(OSAS)が疑われる場合は、問診や生活習慣に関する調査をし、医師が必要と判断すればスクリーニング検査を行います。これは睡眠中の呼吸状態を計測する装置を用いた検査で、診察のあと検査装置が患者さんのご自宅に配送され、ご自身で検査装置を装着し自宅で就寝中に計測をします。検査方法としては、腕に腕時計くらいの大きさの測定器を付け、鼻や口先に呼吸状態をみるセンサを装着し、後は眠りにつくだけです。測定器が睡眠中の無呼吸/低呼吸回数や無呼吸の持続時間を測定し結果を当院へ電送します。
後日医師が無呼吸や低呼吸状態の程度を確認し、重度の睡眠時無呼吸症候群と診断されると治療として当院でCPAP(次項に記載されている治療)の導入を行います。また、検査の結果さらに詳細な検査が必要な場合は、近隣の提携医療機関へ一泊入院してのPSG(終夜睡眠ポリソムノグラフ)検査を受けていただくようご紹介致します。

治療について

検査の結果、SAS(OSAS)と診断されると症状を解消させるための治療となりますが、軽症と判定された患者さんでは睡眠姿勢の指導や体重減量の指導を行います。

中等症~重症と診断された患者さんでは、CPAP(持続陽圧呼吸法)と呼ばれる装置を用いた治療が行われます。同装置は患者さんのご自宅へ貸し出され、使用する際は装置のマスクを睡眠時に装着して眠りにつきます。眠っている間は圧の加わった空気が装置から送られるようになるので、上気道は閉塞されずに鼻呼吸による睡眠が可能になり、いびきが起きなくなるほか、途中で目が覚めるといったことも解消されるようになります。なお治療期間中は、定期的に通院いただく必要があります。