小児予防接種とは
赤ちゃんは生まれるとき母体から様々な免疫を授かりますが、それらは成長と共に減弱し、やがてこの世に存在する数々の感染症に罹患するリスクが上昇していきます。その中には発症することによって生命に影響しかねない感染症もあります。このような状態をできるだけ防ぐために行うのがワクチン(病原体の病原性を取り除く、あるいは極限まで弱めた薬剤。接種することで特定の感染症に対して免疫をつけられるようになる)接種で、乳幼児の間に数多くのワクチンを接種することになります。
小児の予防接種は、国や自治体が推奨し、規定の年齢の間に受けることができれば原則無料の定期接種と、保護者が受けるかどうかを判断し、全額自己負担で接種する任意接種(一部自治体で助成することもあります)の2種類があります。定期接種は生命に影響しかねない病気のワクチンで、任意接種はそれほど生命に影響しないとされ、費用は全額自己負担となっています。ただ任意接種のワクチンの中にも、海外では定期接種扱いになっているのもあります。こちらもできるだけ受けることをお勧めします。
ワクチンの種類には、生ワクチンと不活化ワクチンの2つがあります。前者は病原体が生きた状態のままで、病原性を極力弱めて作られたものです。後者は死んだ病原体や病原体の一部から免疫をつけるのに有効な成分を抽出したものです。不活化ワクチンは、免疫がそれほど強くないので、複数回の接種が必要となります。
小児の定期予防接種(蕨市の場合、蕨市民は全額助成)
ワクチンの種類 | 予防できる病気 | 定期接種が推奨されている期間と回数 |
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ロタウイルス 【生ワクチン】(1価(ロタリックス)もしくは5価(ロタテック)のどちらかを選択) |
感染性胃腸炎 | 生後6週から接種可能(接種の推奨は生後8週より)。1価を選択した場合は計2回(生後24週未満までに接種を終了)、5価を選択した場合は計3回(生後32週未満までに接種を完了)を接種。 |
B型肝炎 【不活化ワクチン】 |
B型肝炎 | 生後2~4ヵ月未満の間に2回、7~9ヵ月未満の間に1回の計3回を接種。 |
ヒブ(Hib) 【不活化ワクチン】 |
ヒブ感染症(細菌性髄膜炎 など) | 生後2~5ヵ月未満の間に3回と、生後12~18ヵ月未満の間に1回の計4回を接種。 |
小児用肺炎球菌 【不活化ワクチン】 |
肺炎球菌による感染症(細菌性髄膜炎 など) | 生後2~5ヵ月未満の間に3回、生後12~16ヵ月未満の間に1回の計4回を接種。 |
四種混合(DPT-IPV) 【不活化ワクチン】 |
ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ | 生後3ヵ月~1歳に達するまでに3回、生後12~18ヵ月未満の間に1回の計4回を接種。 |
BCG 【生ワクチン】 |
結核 | 生後5~8ヵ月未満の間に1回の接種。 |
MR(麻疹・風疹混合) 【生ワクチン】 |
麻疹(はしか)、風疹 | 1~2歳未満の間に1回、小学校就学1年前の間(幼稚園や保育所での年長児)に1回の計2回の接種。 |
水痘(水ぼうそう) 【生ワクチン】 |
水痘(水ぼうそう) | 1~1歳3ヵ月未満の間に1回、1回目の接種後、半年~1年程度の間隔を空けて1回の計2回の接種。 |
日本脳炎ワクチン 【不活化ワクチン】 |
日本脳炎 | 3~4歳未満の間に2回、さらに2回目の接種後に1年程度間隔を空けて1回、その後9~13歳未満の間に1回の計4回の接種。 |
二種混合ワクチン 【不活化ワクチン】 |
ジフテリア、破傷風 | 11~13歳の誕生日を迎える前日までに計1回の接種。 |
HPV(ヒトパピローマウイルス) 【不活化ワクチン】 |
子宮頸がん | 中学1年生の女子が主な対象。使用するワクチンは2種類(2価、4価)で、どちらかを選択し、いずれも計3回の接種。2価では初回の接種から1ヵ月の間隔を空けて2回目、初回から半年の間隔を空けて3回目を接種。4価では初回の接種から2ヵ月の間隔を空けて2回目、初回から半年の間隔を空けて3回目を接種。 |
任意予防接種
ワクチンの種類 | 予防できる病気 | 接種の推奨期間と回数 | 費用 |
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おたふくかぜワクチン 【生ワクチン】 |
おたふくかぜ | 接種はまず1歳を過ぎてから1回、その後おたふくかぜを罹患していなければ、接種後3年前後で2回目を接種。 | 5,500円 |
A型肝炎ワクチン 【不活化ワクチン】 |
A型肝炎 | 計3回で、1歳から接種可能。1回目の接種後に2~4週間の間隔を空けて2回目、さらに約半年後に3回目を接種する。 | 8,250円 |
髄膜炎菌ワクチン 【不活化ワクチン】 |
髄膜炎菌感染症 | 計1回。2~55歳までの間に接種する。 | 26,400円 |
インフルエンザワクチンも任意予防接種
任意予防接種にはインフルエンザワクチン(不活化ワクチン)も含まれます。ワクチン1回の接種による持続効果期間が5ヵ月程度で、流行するインフルエンザウイルスの型は毎年違うため、注入するワクチンが毎年若干ずつ異なる組成となっています。このことから、できるだけ予防したいという場合は、毎年接種されるようにしてください。生後6ヵ月を過ぎた頃から接種は可能で、例年であれば、毎年10月頃から接種が始まります。
接種回数に関しては複数の意見がありますが、当院の場合13歳未満のお子さんは計2回、13歳以上の方は計1回の接種としています。2回接種の場合2回目を受ける間隔ですが、1回目の接種を終えた2~4週間後が望ましいです。